きものマガジン・ひととき
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伝統技法 摺り友禅の世界~銀黎舎~
そして、摺り友禅の技法を用いて多くの人を魅了する『銀黎舎』。
今回はその摺り友禅と銀黎舎の魅力や世界を少しだけご紹介いたします!!
摺り友禅とは・・・?
着物は様々な技法を用いて作られています。
織りや染め、絞り、刺繍など・・・多くの技法があり、職人が日々作品をうみだしています。
中でも”染め”を施す染色技法のひとつとして「摺り友禅」が存在します。
友禅と聞くと、筆で色をさすイメージなどをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
摺り友禅は『型紙と刷毛』を使って染めていきます。
約13mある白生地を歪みなく張り、その上に文様が彫られた型紙を置いてから刷毛で摺り込むことで柄を描きます。
この型紙は1枚80cm程、生地の長さに合わせて作業を繰り返していきます。
また文様や柄によっては、色の濃淡や細かな線などを表現するために摺り込む回数を増やしたり、複数の型紙を使うこともあります。
1枚の型紙では柄を表現できません。
色ごとに型紙を変える必要もあるため、多いものでは何十枚・何百枚と型紙を使います。
多くの人を魅了する『銀黎舎』
2002年に京都で設立された銀黎舎。
伝統工芸士と一級技能士である長居賢珠氏によって立ち上げられました。
伝統工芸士はご存知の方も多く、認定までに様々な受験資格や厳しい試験をクリアしなければなりません。
ですが「一級技能士」はさらに狭き門・・・と言われています。
合格者は1人・2人いるかいないか、合格者がいない時もあるそうです。
その高い技術を示す資格をお持ちでいる長居氏をはじめ、職人たちが『いい作品は努力なしには輝かない』という信念のもと作品を作っています。
実際に摺り込むところを見ていると、刷毛をくるくると回しながら染める姿にシンプルな作業と思ってしまうのですがこれが非常に難しいです。
僅かな力加減や気温・湿度、生地によって出る色がガラッと変わってしまいます。
型紙を変えてずらさないように重ねながら、均一の力で摺る…
これは熟練の職人だからこそ出来る技ですね。
職人の手から描かれる繊細で、時に力強い作品たちは数多くの著名人や女優をも魅了してしまうほどです・・・。
伝統技法で古典柄からモダンまで
銀黎舎の作品は様々な雰囲気を持っています。
正統派な古典柄はもちろんのこと、色の重ね方などを変えてモダンな雰囲気のものまであります。
その作風から若い方からも人気があります。
後継者が少なく、伝統や技をつないでいく人が少なくなっているものづくりの世界。
まずは技法や作品を知ることや、身にまとう・楽しむことで大切にしていきたいですね。