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菊の柄は長生きのおまじない? 秋の柄の読み解き方
きものマガジンTPO&豆知識
ひもとく、きもの No.4 / 柄の謎とき
秋の柄の読み解き方
秋の着物でよく見かける、菊の柄
秋になると、着物や帯のあちこちで出会う菊の柄。「秋の花だから」と思いきや、実はそこには、昔の人たちの切実な願いが込められています。
着物の柄は、ただの飾りではなく、ひとつひとつに意味がある「読みもの」。今回は、秋を代表する柄を読み解いてみましょう。
菊は、長生きと魔よけの願いを込めた柄
菊は、古くから邪気を祓う縁起物とされてきた花です。長く咲き続ける姿や、ほのかな香りに、特別な力を感じていたのかもしれません。そして、その願いのいちばんの中心にあるのが「長寿」です。
菊が長寿の花とされる理由は、秋のある行事にあります。

9月9日は「菊の節句」
その行事が、9月9日の重陽(ちょうよう)の節句。昔の中国の考え方では、奇数はめでたい「陽」の数とされていました。一桁でいちばん大きな陽の数「9」が重なる日なので、「重陽」。別名を「菊の節句」といい、菊の力で長寿を願う日だったのです。
もとは旧暦の行事なので、今の暦でいえば10月ごろ。ちょうど菊の見ごろにあたります。
ちなみに「六日の菖蒲(あやめ)、十日の菊」という言葉があります。5月5日の端午の節句に使う菖蒲が6日に届いても、9月9日の重陽に使う菊が10日に届いても、もう間に合わない。そこから、時期に遅れて役に立たないもののたとえになりました。
平安貴族は、菊の「朝露」で顔をぬぐった
平安時代の宮中には、重陽の前の晩に、菊の花に真綿をかぶせておく「菊の着せ綿(きせわた)」という習わしがあったといわれます。翌朝、菊の香りと夜露を含んだその綿で顔や体をぬぐい、若さと長寿を願ったのだそうです。

菊と流れる水を組み合わせた「菊水(きくすい)」という柄も、菊の露がしたたった水を飲んだ人が長く生き続けた、という中国の伝説にちなむものとされています。
秋草の柄は、真夏から着る
秋の柄といえば、桔梗(ききょう)・撫子(なでしこ)・萩(はぎ)など、秋の七草を描いた「秋草」の柄も欠かせません。
面白いのは、この秋草の柄が、秋の着物だけでなく夏の着物にもよく使われること。着物の世界では、季節を少しだけ先取りして柄を選ぶのが粋とされてきました。うだるような暑さの中で秋草をまとうのは、「もうすぐ涼しい秋が来ますね」という、見る人への涼やかなあいさつでもあったのです。


話したくなる一言
「『六日の菖蒲、十日の菊』って、”間に合わなかったもの”のたとえなんだって」